このブログを検索

2020/07/23

  谷英美の文学教室 其の一

   このブログでも、金子みすゞトリビアを少しずつお伝えしてみたいと思います。

             金子みすゞの『仲なほり』という詩について。

金子みすゞ全集には、絶版となった全3冊から成る旧全集と、その3冊をそれぞれ上下に分けた6冊から成る新全集とがあります。

今回、取り上げる『仲なほり』という詩は、新全集では『空のかあさま』の下巻、120ページにあり…

旧全集では、『空のかあさま』の226ページにあります。

また、旧全集別冊付録の解題86ページに、このように書かれています。

 三連と四連の間に四行あり。「四行けづる」という金子みすゞのメモ書きがあり、削除した。削除した部分ー

・・・・・・・・・・・・・・

きのふ、おとつひ、さおとつひ、
ものもいはずに、ゐたけれど、

なにかふしぎな、なつかしい
霞のなかに、とけてゐた。

・・・・・・・・・・・・・・・
 しかし、新全集では何の説明も付されていません。

この4行についてみすゞが推敲したことは、読者にとって、とても大きな情報ではないでしょうか?新全集で、このことに触れないようにした理由が、私には全く理解できません。

まどみちお他5名で編集した旧全集を絶版にし、自身の単独編集による新全集を出版したのは、金子みすゞについての権威とされている矢崎節夫さんという方です。

が、ことほどさように矢崎さんの出版は、詩人の命である言葉に対していかに不誠実であるか!!!

ぜひ知っていただきたいことを、少しずつお伝えしてゆけたらと思っています。


0 件のコメント:

コメントを投稿